数学において、用語ファイバー (fiber, fibre) は文脈によって次の2つの意味を持つ:

  1. 素朴集合論において、写像 fX → Y のもとでの集合 Y の元のファイバーとは、単元集合 {y} の f による逆像のことである。
  2. 代数幾何学において、スキームの射のファイバーの概念は、一般に全ての点が閉とは限らないから、より注意深く定義されなければならない。

定義

素朴集合論におけるファイバー

f: XY を写像とする。元 yYファイバー は、

f 1 ( { y } ) = { x X | f ( x ) = y } {\displaystyle f^{-1}(\{y\})=\{x\in X\,|\,f(x)=y\}}

と定義され、f−1(y) とも書かれる。

様々な応用においてこれはまた次のようにも呼ばれる:

  • 写像 f による { y } {\displaystyle \{y\}} の逆像、
  • 写像 f による { y } {\displaystyle \{y\}} の原像、
  • y における関数 f の等位集合。

等位集合という用語は f が実数値でしたがって y が単に数であるときにのみ用いられる。fRd の領域上の連続関数で、yf の像に入っていれば、f に対する y の等位集合は、2次元空間内の曲線や、3次元空間内の曲面、一般には d − 1 次元の超曲面である。

代数幾何学におけるファイバー

代数幾何学において、fX → Y がスキームの射であれば、Y の点 pファイバーはファイバー積 X × Y Spec k ( p ) {\displaystyle X\times _{Y}\operatorname {Spec} k(p)} である、ただし k(p) は p における剰余体。

Terminological variance

用語「ファイバー」、「逆像」、「原像」、「等位集合」の推奨された使い方は以下のとおりである:

  • 写像 f のもとでの元 y のファイバー
  • 写像 f のもとでの集合 { y } {\displaystyle \{y\}} の逆像
  • 写像 f のもとでの集合 { y } {\displaystyle \{y\}} の原像
  • y における関数 f の等位集合。

用語の濫用によって、以下のように使われることがあるが、避けるべきである:

  • y における写像 f のファイバー
  • y における写像 f の逆像
  • y における写像 f の原像
  • 写像 f のもとでの点 y の等位集合。

f を実関数 f : R R , x x 2 {\displaystyle f\colon \mathbb {R} \to \mathbb {R} ,\,x\mapsto x^{2}} とし、y を実数とする。

  • y > 0 であれば、y のファイバーは二元集合 { y , y } {\displaystyle \{{\sqrt {y}},-{\sqrt {y}}\}} である。
  • y = 0 であれば、y のファイバーは単元集合 { 0 } {\displaystyle \{0\}} である。
  • y < 0 であれば、y のファイバーは空集合 {\displaystyle \varnothing } である。

関連項目

  • ファイブレーション
  • ファイバー束
  • ファイバー積
  • 像 (圏論)
  • 像 (数学)
  • 逆関係
  • 核 (代数学)
  • 等位集合
  • 原像
  • 関係 (数学)
  • 零点集合

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