関原(せきはら、せきがはら〈関ヶ原〉、繁: 關原〈クァンユェン〉)は、台湾の中部横貫公路(東西横貫公路)、省道台8線の起点(台中市東勢区)からの距離117キロメートル、標高2372メートルに位置する。花蓮県秀林郷の北西部の富世村に属する地区である。中部横貫公路最高点の大禹嶺(標高2565m)より太魯閣方面に向かう高地にあり、渓谷に近い地形の気候要素により雲海の発生することが多く、「関原雲海」、「合歓観雲」と称される。
地理
関原は中央山脈に位置し、北側の畢禄山(標高3371m)の下方にあり、南側には立霧渓(タツキリ渓谷)が東に延び、渓谷の向こう側に屏風山(標高3250m)を望む。中部横貫公路沿線の平坦な高地にあり、東約11キロメートル (11.13km) の碧緑神木と西約5キロメートル(4.9km)の大禹嶺の間に位置する。
歴史
1914年の太魯閣戦争(太魯閣戦役)の際、合歓山の麓より立霧渓谷沿いに軍用道路が開削され、台湾総督佐久間左馬太の指揮のもと太魯閣族(タロコ族)原住民討伐のために使用された。屏風渓(屏風山渓谷)と塔次基里渓(立霧渓中流)が合流する河岸段丘地点が第一陣営として使われ、駐屯した佐久間総督により岐阜県の「関ヶ原」(不破郡関ケ原町)にちなんで名付けられた。その場所は現在の中部横貫公路の下方、標高約2000メートルにある「関原旧跡」(繁: 關原駐在所)であり、命名は、かつて西の托博閣(陶樸閣〈Tpuqu〉) 族と東の太魯閣族が、この狩猟地の縄張り争いを引き起こしたことに由来する。
施設
- 関原ガソリンスタンド(繁: 關原加油站) - 台湾中油。1986年(民国75年)開設。台湾最高地点のガソリンスタンド。
- 合観派出所(繁: 合歡派出所) - 花蓮県警察局(繁: 花蓮縣警察局)新城分局。台湾最高地にある交番(繁: 派出所)の1つ。ほかには翠峰派出所(標高2300m)・華岡派出所(標高2450m)がある。
- 旧・関原焼却場(繁: 關原焚化廠) - 関原周辺一帯のごみ焼却施設として開設されたが、処理量不足や不完全燃焼などから使用停止。その後、2009年(民国98年)の施設転用の発表まで10年余り放置された。
- 救国団観雲山荘(繁: 救国團觀雲山莊) - 中国青年救国団が運営する関原の宿泊施設。救国団青年活動センター(繁: 救国團青年活動中心)の1つ。
周辺
- 大禹嶺 - 「合歓山隧道」中部横貫公路最高点。西方約5キロメートル(標高2565m)。
- 碧緑神木 - ランダイスギの巨木。樹齢300年余り、樹高50メートル、直径3.5メートル。東方約11キロメートル(標高2150m)。
脚注
参考文献
- 『台湾 自遊自在』日本交通公社出版事業局〈JTBのフリーダム 10〉、1989年。ISBN 4-533-01464-X。
- 前圭一「大正三年太魯閣原住民討伐陸軍部隊における保甲人夫徴用(一)」(PDF)『大阪経済法科大学論集』第93号、大阪経済法科大学経法学会、2007年8月31日、1-98頁、ISSN 0287-9468、2023年6月25日閲覧。
関連項目
- 中部横貫公路
- 佐久間左馬太
- 太魯閣戦争



