ソコニシン科(学名:Bathyclupeidae)は、スズキ目スズキ亜目に所属する魚類の分類群(科)の一つ。ソコニシンなど外洋で生活する深海魚を中心に、少なくとも1属7種が含まれる。科名(模式属名)の由来は、ギリシア語の「bathys(深い)」とラテン語の「clupea(イワシ・ニシン)」から。
分布・生態
ソコニシン科の魚類はすべて海水魚で、西部太平洋からインド洋にかけて、およびメキシコ湾周辺の外洋に分布する。海底から離れた深海の中層を漂泳して生活するものとみられ、水深300-800mの範囲からの報告が多い。日本近海からはソコニシン1種のみが知られていたが、2014年に新種として Bathyclupea nikparini が高知沖から報告されている。
採集されることが比較的稀なグループであり、本科魚類の生活史についてはほとんどわかっていない。
形態
左右に平たく側扁し、イワシやニシン類と似た体型をもつ。一般的に小型の魚類で、体長は最大でも20cm程度である。
背鰭は1つで、体の後方寄りに位置する。背鰭の棘条を欠き、軟条は8-10本。臀鰭の基底は長く、1本の棘条と24-39本の軟条で構成される。背鰭・臀鰭ともに鱗で覆われ、本科の英語での別名「deep-sea scalyfin」の由来となっている。胸鰭は26-30軟条で、鰭条はやや長い。口は前上顎骨と主上顎骨によって縁取られる。椎骨は31個。
分類
ソコニシン科にはNelson(2016)の体系において、ソコニシン属のみ1属7種が認められている。これに加えて、2014年には日本近海産の1種を含む2種が新種として記載されたほか、新属として Neobathyclupea 属の設置が提唱された。
本科はかつてニシン類と近縁と考えられ、1940年代には独立の「ソコニシン目(Bathyclupeiformes)」としてニシン目に続く位置に置かれたこともあるが、以後はスズキ目の一部としての位置付けが確立している。
- ソコニシン属 Bathyclupea
- ソコニシン Bathyclupea argentea
- Bathyclupea elongata
- Bathyclupea gracilis
- Bathyclupea hoskynii
- Bathyclupea malayana
- Bathyclupea megaceps
- Bathyclupea schroederi
出典・脚注
参考文献
- Joseph S. Nelson, Terry C. Grande, Mark V.H. Wilson 『Fishes of the World Fifth Edition』 John Wiley & Sons, Inc. 2016年 ISBN 978-1-118-34233-6
- Joseph S. Nelson 『Fishes of the World』 John Wiley & Sons, Inc. 1976年 ISBN 0-471-01497-4
- 岡村収・尼岡邦夫監修 『日本の海水魚』 山と溪谷社 1997年 ISBN 4-635-09027-2
- 中坊徹次編 『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』 東海大学出版会 2013年 ISBN 978-4-486-01804-9
外部リンク
- FishBase - ソコニシン科 (英語)

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